新年


大晦日から大雪だった
二日に彼女の実家を訪ねた
父親は
年賀状ありがとうばかり言っていた

会話を持て余し
庭に目をやると
小さな雪だるまが五つ
五人家族の分だそうだ
  あたしが作ったの

それをスマホで撮っていた妹は
  あたしも
  お姉ちゃん大好きなんですよぉ
  こんな雪だるま作ってくれるし
  かわいいですよねっ
四月から千葉の銀行に内定しているので
お姉ちゃんと一緒に
千葉で暮らしたいと言っていた

あれからいろいろあったけど
気づけばもう四月も終わりですね
きみは今
千葉の空気を吸っていますか

叩きつけるように


まるで
花束を叩きつけるように
きみが部屋を飛び出して行った後、
どこから聞きつけたか
友情メールの着信音が鳴りやまない
  別れてよかったじゃない
  これでよかったじゃない

まるで
新種の妖怪に
取り憑かれたみたいだ
  ちゃりらんちゃりらん
  ちゃりらりらん
物の怪の
奇妙な笑い声が止まらない

お願いだから
散らばった花びらを一枚一枚
ひとりで拾わせてください
本当の友だちなら
今夜はそうさせて

怪人からの手紙


  君ほどの男が
  あの程度の推理しかできないとは
  期待外れだった
  昨夜の美女が
  私の変装した姿だったと
  見破れなかったのだからね

君のほうこそ
まだ僕に泳がされていることに
気づいていないとは残念だ
本物の明智に
未だに出会ったことのない君が
僕に好奇心を寄せてくれていることには
感謝しないといけないのだろうが

フィギュアの美少女


時々きみは
思いがけない相談をしてくるね
留学時代の元彼から
復縁を迫られていてどうしようなんて
僕と付き合ったこともないのに
そんな難しい相談されても困る

それも
南米系のカナダ人の彼って
どんな人かもわからないし
お願いだから
そんな難しい相談しないでほしい

僕はただ
氷の上でひたむきに頑張る
きみの姿が
ちょっと可愛らしいなと思っている
ただそれだけなのだから

でも
  日本の女の子が海外留学するのは
  個人的には賛成できないね…

TOEICの学習相談に
乗っていただけなのに、なんだか
ややこしいことになってしまった

はつ恋


返事が届いた
  あなたからの手紙
  読んだんですけど
  ちょっと意味が分かりませんでした
返事の返事を書き送ったら
しつ恋になってしまうので
それきりでやめにした

あれから二十年
僕は一児の父になりました
意識して育てたわけではないのですが
十歳の娘はどこか
あなたに似ています

小さな恋


風が 冷たくひゅうひゅう頬に刺さる
顔も 見たくないと
言われた。けど
メールしてみた
  風邪と花粉症に同時にかかって
  風邪薬飲んでもくしゃみ止まらへん
めっちゃ意味分からんメールやん

いよいよ風が 冷たくひゅうひゅういう
  大変ですね
と返信の音がした
翌朝から
また二人で学校に行くことになった
家近くだし。
高校生になって二度目の
桜の季節がくるよ

そんなこともありました
桜は散っても桜だけど
僕は今ではただのおっさんです