おなじ夜空の街のどこかで


この街のどこかで
詩人が暮らしているかもしれない
この夜のどこかで
詩を書いているかもしれない

詩人のなかには
あまり自作を朗読しない人もいる
だからこの街のすべての路地を
歩き尽くしたとしても
詩を読む声は聞こえてこないだろう

それならいっそ
自分で詩を作り
自分で朗読して
自分が詩人になればよいのだ

この街の詩人も
そうして詩人になったのかもしれない

まだ見ぬ詩人
あなたも

青空コーヒー


いつもの缶コーヒー
一滴残さず飲み干そうと
缶を180度傾けて天を仰いだら
朝の青空がすかっと見えた

知らなかった
いつもの散歩道
いつもの自販機の横で自分が
こんな鮮やかな青に覆われていたなんて

110円で
なんかいい買い物してしまいました

武豊だけじゃないぜ競馬場


人間は「勝つ」んだという目標を持つと
こうも変われるものなのか
うちの近所の足を引きずったお年寄りと違って
競馬場のおっちゃん達は
何かに向かってタッタカタッタカ歩いていく

ある馬主さんに言われたことがあった
「お兄ちゃん、絶対負けへん方法教えたろか。
それは競馬をやめることや。」
今日もおっちゃん達はみな目を輝かせ
何かに向かってタッタカタッタカ歩いていく

ウイナーズサークルで
武豊騎手を見た
通算4千勝に近づいておられるが
勝ちに来ているのは騎手さん達だけでは
ないことを知った

「リベラル派」のイメージ

「リベラル派」と聞くと「心の優しい人たち」というイメージを抱きがちですが、
ちょっと立ち止まって彼らの政治理念・基本政策に目を向けてみましょう。
すると、単なる左翼思想の方がたの寄せ集めにすぎないような気がするのです。

秘密の言葉なんて


道端に落ちていた秘密の言葉を
拾ってアパートに帰ったら
僕は自分の言葉を失くしてしまった

その日以後
誰とも会話することができなくなり
仕事も辞めなければならなくなった

職場仲間だった女の子が
心配して訪ねてきてくれた
僕が秘密の言葉ですべてを打ち明けると
彼女は僕の手を握って
ただ何も言わないでいてくれた

二人で暮らすようになったある日
僕が秘密の言葉を切り取って
ゴミ収集所に捨てに行くと
誰かのものだったはずの言葉たちが
山積みにされて
夏のセミのように鳴いていた

言葉の海は無限の色をしている
だからうっかり立ち入ると
永久に抜け出せないこともあります

全校集会


クラスで目立たない奴がいた
「お前、いたっけ?」
ある日、英語の教師がそいつに言い放った
教室内にはクスクス笑う声も聞こえた
その夜、そいつは自ら命を絶った

次の朝、授業はすべて中止になり
全校集会が開かれた
校長が「遺書が残されていないため、
彼の死の理由はわからないのですが…」
あんな説明ならわざわざ聞く価値もなかった

「お前いたっけ」の教師は粘土のような顔色で
集会の間中まるで陶器のように固まっていた
あんたならあいつが死んだ理由わかってるよな?
教師は皆、
自分が職場に居続けるための最善の方法を取った

数ヶ月後、卒業式の日になった
女子の涙もない、しらけた卒業式
あいつが死んだ日からこの学校は
毎日がまるで全校集会のような日々だった
卒業式さえ、あいつが主役の全校集会だった