若い女と老犬


閉じたカーテンの隙間から忍び込んで
白塗りの天井をささやかに祝福する光
私が目を開けると
昨日滅びたはずの朝が
また滅びに向かって繰り返されていた

こんなことあり得ない
どうしてこんなになってしまったのか
私は老犬に理由を聞くしかないと思った

村には彼の姿はなく
見知らぬ若い女が
彼は今ごろ空を散歩しているのだから
もうここに戻りはしないと告げた

キーマンを失った私は途方に暮れて
若い女と話をした
彼女は自分の言葉に腹を抱えて笑い
あなたはどこか老犬に似ていると言った

私は老犬にしてやられたのかもしれない
彼は何を守り何を消し去るつもりなのか
こんな私に残されたささやかな抵抗は
夜明け前、寝床の中で目をつむり
滅びの朝を中断させることだけだ
posted by 仮名吹(かなぶき) at 00:24Comment(0)自作の詩

クイズ大会


  さぁ、ファイナルチャンスです。
  それでは、どうぞ。

――深まっていくものは?
秋。

――ねじれていくものは?
過ち。

――女が海に棄てたものは?
ブリキ人形の涙。

――子どもが砂浜で拾ったものは?
青い手紙の入った瓶。

――手紙には何と書いてあった?
インクがにじんで読めませんでした。

聞きたいことはそれだけですか?

  タイムオーバーです。
  残念でした。
posted by 仮名吹(かなぶき) at 23:38Comment(0)自作の詩

筋肉美女


知らなかった
僕のアパートの近所に
筋肉美女が住んでいたなんて
まさかこんなところで
筋肉美女に出会ってしまうなんて

筋肉美女は
普段は服で隠している
でも彼女はやはり
正真正銘の
写真ブログで有名な筋肉美女だった

カラオケも上手い、
筋肉美女
でも
いちばん意外だったのは
彼女がガリのヒョロ男に従順なことです
posted by 仮名吹(かなぶき) at 21:00Comment(0)自作の詩

夜のパズル


わたしはパズルなんかしている
夜、眠れない時にしている

ジグソーパズルだから
ピースがほとんど同じ形で
図柄で判別するしかないのだろうが
真夜中、電気もつけずにやるので
目を閉じてしているのと同じで
何かをはめ込んでいるという感覚以外
わからないままやっている

そうしてできあがったパズル
もちろん元の絵柄とは似ても似つかぬ、
まるで売れない前衛絵画みたいだから
昼間に人目に付くところになんか
恥ずかしくて飾れない

この前「完成」した一枚を
部屋の明かりをつけて見たら
一面にびっしりと
わたしの口紅の跡が付いていた
posted by 仮名吹(かなぶき) at 18:39Comment(0)自作の詩