若い女と老犬


閉じたカーテンの隙間から忍び込んで
白塗りの天井をささやかに祝福する光
私が目を開けると
昨日滅びたはずの朝が
また滅びに向かって繰り返されていた

こんなことあり得ない
どうしてこんなになってしまったのか
私は老犬に理由を聞くしかないと思った

村には彼の姿はなく
見知らぬ若い女が
彼は今ごろ空を散歩しているのだから
もうここに戻りはしないと告げた

キーマンを失った私は途方に暮れて
若い女と話をした
彼女は自分の言葉に腹を抱えて笑い
あなたはどこか老犬に似ていると言った

私は老犬にしてやられたのかもしれない
彼は何を守り何を消し去るつもりなのか
こんな私に残されたささやかな抵抗は
夜明け前、寝床の中で目をつむり
滅びの朝を中断させることだけだ

クイズ大会


  さぁ、ファイナルチャンスです。
  それでは、どうぞ。

――深まっていくものは?
秋。

――ねじれていくものは?
過ち。

――女が海に棄てたものは?
ブリキ人形の涙。

――子どもが砂浜で拾ったものは?
青い手紙の入った瓶。

――手紙には何と書いてあった?
インクがにじんで読めませんでした。

聞きたいことはそれだけですか?

  タイムオーバーです。
  残念でした。

筋肉美女


知らなかった
僕のアパートの近所に
筋肉美女が住んでいたなんて
まさかこんなところで
筋肉美女に出会ってしまうなんて

筋肉美女は
普段は服で隠している
でも彼女はやはり
正真正銘の
写真ブログで有名な筋肉美女だった

カラオケも上手い、
筋肉美女
でも
いちばん意外だったのは
彼女がガリのヒョロ男に従順なことです

夜のパズル


わたしはパズルなんかしている
夜、眠れない時にしている

ジグソーパズルだから
ピースがほとんど同じ形で
図柄で判別するしかないのだろうが
真夜中、電気もつけずにやるので
目を閉じてしているのと同じで
何かをはめ込んでいるという感覚以外
わからないままやっている

そうしてできあがったパズル
もちろん元の絵柄とは似ても似つかぬ、
まるで売れない前衛絵画みたいだから
昼間に人目に付くところになんか
恥ずかしくて飾れない

この前「完成」した一枚を
部屋の明かりをつけて見たら
一面にびっしりと
わたしの口紅の跡が付いていた