誰か


見知らぬ町の駅に降り立った私は
道行く人の誰かに
ここはどこですかと尋ねようとした

するとそれより早く
町の人が数名で私を取り囲んで
あんたこそ誰かと詰め寄った

私は答えられなかった
いつの間にか
自分の名も思い出せなくなっていた

「誰か、誰かおらぬか」
遠くで殿さまのような声がしている
posted by 仮名吹(かなぶき) at 00:53Comment(0)自作の詩

俺と私のあの日


あの頃俺は
もう生きているのが嫌で、嫌で
今ここでこうして
「あの頃は」なんて
振り返れる日が来ようとは
思いもしなかった

あの頃私は
こんな人生なら、もう
いつ終わってもいいわと
いつでも終わらせるつもりで
ただ死んでいないというだけだった
そう、

あの日
NPOの人に半ば無理やり
連れ出されて
そう、きみに出会うまでは
そう、あなたに出会うまでは
posted by 仮名吹(かなぶき) at 21:01Comment(0)自作の詩