夜の半分は嘘で出来ている


そしてもう半分は予感で出来ている
いま高校生の日記か何かを真似て
「私とあなた」という題で書くなら
この夜の半分は虚構つまり
私がこれまであなたに抱いた幻想
そしてもう半分は別離の予感で出来ている

男が見たがらない映画を一人で見る
あんまりなラストに涙も出ない
下着に潜り込んだ妖精が顔を出し
どうせ終わるなら
これくらい馬鹿馬鹿しいほうが
引きずるものも無いだろうなどと言う

アパートに戻るといつものように
隣人の情事の声が少しうるさい
いや、もしかしたら私たちも
これくらい醜い二人なのかもしれない
そのとき電話が鳴って
実家の弟からだった

新年度からのトムとジェリーには
無表情の観客が加わった
夜は三分割された
愛しているとかいないとか
悪戯好きの妖精も下着と一緒に洗われて
部屋干しにされてしまった
そして三個の磁石のように
引き合いながら背を向けている夜
posted by 仮名吹(かなぶき) at 19:30Comment(0)自作の詩