半獣人


オリンピック女子陸上四百メートルリレー
某先進国のアンカーは身長二メートルの超大
型ランナー
バトンを咥えて豹のように四足で走り、最下
位からのごぼう抜きで金メダルに輝いた

異変はメダル授与式で起きた
表彰台上の彼女は突然何らかの体調不良を起
こし倒れ込んだ
医師が呼ばれた
苦しさのため、いつの間にか長く伸びた爪で
ジャージをかきむしり、ほとんど肌が露出し
ている
医師が大きく呼吸するよう指示した
息を吸う時の白い肌に、吐く時には豹のよう
な模様が彼女の全身に浮かび上がった…

呼吸だけが続き、
スタジアムは静止した

大会終了後国際ジャーナリズムが彼女は本当
に人間なのかとの論陣を張り、
某先進国オリンピック委員会会長は遺伝子操
作で生まれた子であることを認めた
金メダルは剥奪され、
彼女は選手として永久追放処分を受けた
すると今度は国際ジャーナリズムが彼女は被
害者なのではないかと言い始めた

その後彼女はNGOの支援を受けてアフリカ
の草原に移住し、
時々先進各国を訪問しては「行き過ぎた科学
への警鐘」というテーマで講演をしている

ある時私は彼女に尋ねた
「今、幸せ?」
彼女は答えた
「私の人生に金メダルも失格もない。科学を
憎む気持ちもない。あるのはただ草原を走る
喜びだけよ」