いじめのないクラス


ある日のクラス会で委員のA君が議題を設定
しました
「いじめのない、団結したクラスを作ろう」

Bさんが発言しました「みんなが正しい心を
持てばいじめをなくせるはず」

C君が聞きました「正しい心って何?」

Dさんも問いかけました「みんなが正しい心
を持っていることをどうやって証明するの?」

E君が答えました「僕は正しい心を持ってい
ると証明できる。なぜなら僕は人をいじめる
X君のような人とは違うからだ」

Fさんも続きました「私もX君のようなこと
はしない。X君とは区別してほしい」

「僕も、私も、X君を真似たりしません」
クラスの一人一人が席順に挙手をして椅子か
ら立ち上がって発言し、自分の正しい心を宣
誓しました

そうやってクラスのみんなは正しい心のもと
に団結できました

そしてX君は独りになりました

モテ子ちゃん


牛乳瓶の底かと言いたくなるほどの
分厚いレンズの眼鏡
彼女がそれをかけるのは
なにも近眼のせいだけではない

彼女がモテ子ちゃんと呼ばれるようになったのが
いつ頃からかは誰も知らない
大学の飲み会でたまたま傍に座っただけの
馬鹿な男たちから求愛されたことが相次いで
いつしか彼女は
モテ子ちゃんと陰口されるようになっていた
いつしか、男の視線が刺さらないように
分厚いレンズの眼鏡をかけて
顔を隠すようになっていた

そんな彼女にも
牛乳瓶の底を外すひと時がある
場末のカフェで
たった一人の彼以外、見えなくなる
たった一人の彼の前でだけ
モテ子ちゃんでも何でもない、
たった一人の彼女になる