モテ子ちゃん


牛乳瓶の底かと言いたくなるほどの
分厚いレンズの眼鏡
彼女がそれをかけるのは
なにも近眼のせいだけではない

彼女がモテ子ちゃんと呼ばれるようになったのが
いつ頃からかは誰も知らない
大学の飲み会でたまたま傍に座っただけの
馬鹿な男たちから求愛されたことが相次いで
いつしか彼女は
モテ子ちゃんと陰口されるようになっていた
いつしか、男の視線が刺さらないように
分厚いレンズの眼鏡をかけて
顔を隠すようになっていた

そんな彼女にも
牛乳瓶の底を外すひと時がある
場末のカフェで
たった一人の彼以外、見えなくなる
たった一人の彼の前でだけ
モテ子ちゃんでも何でもない、
たった一人の彼女になる
posted by 仮名吹(かなぶき) at 10:00Comment(0)自作の詩