夜の半分は嘘で出来ている


そしてもう半分は予感で出来ている
いま高校生の日記か何かを真似て
「私とあなた」という題で書くなら
この夜の半分は虚構つまり
私がこれまであなたに抱いた幻想
そしてもう半分は別離の予感で出来ている

男が見たがらない映画を一人で見る
あんまりなラストに涙も出ない
下着に潜り込んだ妖精が顔を出し
どうせ終わるなら
これくらい馬鹿馬鹿しいほうが
引きずるものも無いだろうなどと言う

アパートに戻るといつものように
隣人の情事の声が少しうるさい
いや、もしかしたら私たちも
これくらい醜い二人なのかもしれない
そのとき電話が鳴って
実家の弟からだった

新年度からのトムとジェリーには
無表情の観客が加わった
夜は三分割された
愛しているとかいないとか
悪戯好きの妖精も下着と一緒に洗われて
部屋干しにされてしまった
そして三個の磁石のように
引き合いながら背を向けている夜

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