未来の顔


会えないことは
思っていた以上に苦しく
寂しさから自分の指を噛んだ
血が滲んだ
小物入れから絆創膏を探すこともせず
私は指を舐めた そして
気づけば彼の顔を
思い出せなくなっていた

近所にいた二つ年上の
おにいちゃんはよく遊びに誘ってくれた
彼の頼みだから
モモレンジャーの役も引き受けた
私が転んで膝をすりむいた時
おにいちゃんは砂まみれの血を
ポケットティッシュで拭いてくれた
その彼の顔も もう思い出せない

別れようとしている彼も私の二つ上
あの時のおにいちゃんみたい
優しかったところ
顔の欠けた思い出を残したところ

この手紙を
まだ見ぬあなたに書いています
いつの日か私は血を流すでしょう
そしてあなたの顔を忘れるでしょう

この記事へのコメント