深夜の声


コーヒー飲む?
そうだね
と、軽く返事したものの、
何かおかしい

僕の仕事は舞台の脚本家
今日の朝から稽古だから
夜のうちに書き上げないとまずい
でも僕は行き詰っていた

たしかに
コーヒーでも飲みたい気分だった
でも誰が言ったんだろう
同居人はこの時間とうに寝ている
いつものように
ソファーに横たわり毛布を被って

わからないから
この星空のどこかから
僕を見守っている人の声
ということにして素直に従って
自分でコーヒーを淹れて飲んだ
そういえばここ数日
一杯も飲んでなかった

朝が来た
台本はなんとか出来上がった
同居人が起きてきて言った
あなた、夜の間じゅう一人で
「コーヒー飲む」「そうだね」
ばかり言ってたわよ
やっと飲むまで何度も何度も

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