永遠


神が
一つだけ欲しいものをやると言うので
俺は永遠の命をくださいとお願いした

目が覚めたら朝だった
なんだ夢だったのか
今日は9月19日
俺はいやいや会社に行き
上司に怒鳴られ
マンションに帰って何もかもいやになり
酒を飲んでそのまま眠ってしまった

もう朝か
今日は9月19日
あれ、昨日も19日じゃなかったっけ
まぁいいや
俺はいやいや会社に行き
上司に怒鳴られ
マンションに帰って何もかもいやになり
酒を飲んでそのまま眠ってしまった

朝だ 9月19日だ
おかしいぞ
昨日も一昨日も9月19日だった
神が言った「永遠」とは
一日が終わらないということだったのか

そして
俺はいやいや会社に行き
上司に怒鳴られ
マンションに帰って何もかもいやになり
酒を飲んでそのまま眠ってしまった

そして…
posted by 仮名吹(かなぶき) at 20:27Comment(0)自作の詩

四分の一


もし私があなたに愛を告げたとして
あなたもそうしたら
この恋は成就するだろう
だが私たちの一方だけが愛を告げて
他方がそうしなければ
私たちのどちらかが傷つくだろう
だから結局
互いの心を知らない私たちが
愛を告げ合うことはない

もし私が自ら死を選んだとして
あなたもそうしたら
二人はあの世で結ばれるかもしれない
だが私たちの一方だけが自死し
他方がそうしなければ
私たちのどちらかが残されるだろう
だから結局
互いの心を知らない私たちは
悲しみのなかを生き続ける

若い人には可能性があると人は言う
二人が愛を
「告げる」と「告げる」
「告げる」と「告げない」
「告げない」と「告げる」
「告げない」と「告げない」
四つしかない組み合わせを無限の未来と呼び
無責任に微笑みかけてくる
posted by 仮名吹(かなぶき) at 18:14Comment(0)自作の詩

いじめのないクラス


ある日のクラス会で委員のA君が議題を設定
しました
「いじめのない、団結したクラスを作ろう」

Bさんが発言しました「みんなが正しい心を
持てばいじめをなくせるはず」

C君が聞きました「正しい心って何?」

Dさんも問いかけました「みんなが正しい心
を持っていることをどうやって証明するの?」

E君が答えました「僕は正しい心を持ってい
ると証明できる。なぜなら僕は人をいじめる
X君のような人とは違うからだ」

Fさんも続きました「私もX君のようなこと
はしない。X君とは区別してほしい」

「僕も、私も、X君を真似たりしません」
クラスの一人一人が席順に挙手をして椅子か
ら立ち上がって発言し、自分の正しい心を宣
誓しました

そうやってクラスのみんなは正しい心のもと
に団結できました

そしてX君は独りになりました
posted by 仮名吹(かなぶき) at 10:51Comment(0)自作の詩

モテ子ちゃん


牛乳瓶の底かと言いたくなるほどの
分厚いレンズの眼鏡
彼女がそれをかけるのは
なにも近眼のせいだけではない

彼女がモテ子ちゃんと呼ばれるようになったのが
いつ頃からかは誰も知らない
大学の飲み会でたまたま傍に座っただけの
馬鹿な男たちから求愛されたことが相次いで
いつしか彼女は
モテ子ちゃんと陰口されるようになっていた
いつしか、男の視線が刺さらないように
分厚いレンズの眼鏡をかけて
顔を隠すようになっていた

そんな彼女にも
牛乳瓶の底を外すひと時がある
場末のカフェで
たった一人の彼以外、見えなくなる
たった一人の彼の前でだけ
モテ子ちゃんでも何でもない、
たった一人の彼女になる
posted by 仮名吹(かなぶき) at 10:00Comment(0)自作の詩

愛している


私は愛している
私はあの人を愛している
私はあの人を愛している私をも愛している
私が愛しているあの人が私を愛しているように愛している

私は悩んでいる
私はあの人のことで悩んでいる
私は私の悩みを聞いたあの人のことで悩んでいる
私はあの人も私のことで悩んでいるのが分かるから悩んでいる

私は忘れようとしている
私はあの人を忘れようとしている
私はあの人を忘れていることをも忘れようとしている
私が愛したあの人も私が忘れたように私を忘れようとしている
posted by 仮名吹(かなぶき) at 09:58Comment(0)自作の詩

あなたに


謝らなくてもいいよ
お金がないことがどういうことか分かっても
お金以上のものを奪われたわけじゃない
晴れた日にふたり川に沿って歩く楽しさに
値札をつける人はいないでしょう

悔やまなくてもいいよ
あなたより学歴の高い人が
あなたほど仕事に打ち込めるわけじゃない
誇りを持って働く人のいい表情の自然さは
大学で教わるものじゃないでしょう

探さなくてもいいよ
どこにもなかった人と人の絆なら
わたしたちはもう探し出したじゃない
若い恋を捨てたんじゃない 愛を見つけたの
占い師に聞く必要も もうないでしょう

覚えてくれてなくてもいいよ
わたしの誕生日はそのうちやって来るけど
あなたにはそのために稼いでほしくない
もっと大切な何かのために
かけがえのない出来事に備えて貯えましょう

世の中や人の波が
どんなにわたしたちを押し流しても
気が付くといつもこの部屋に戻っているよね
だから決めたの
わたしはここであなたと生きていく
posted by 仮名吹(かなぶき) at 23:00Comment(0)自作の詩